
リコールについてのご意見
Xboxは、プレイステーションなどと同じ家庭用ゲーム機と位置づけられているが、実体はパソコンそのものだといわれており、ハードウェアを動かすためのOSも、ウィンドウズ2000(日本でもすでに発売されたウィンドウズXPの前のモデル)をベースにしている。
パソコン方面ですでに最近話題になったテレビのドキュメンタリー番組に、〈プロジェクトX〉がある。
NHKのウェブサイトの紹介文によれば、「熱い情熱を抱き、使命感に燃えて、戦後の画期的な事業を実現させてきた無名の日本人を主人公とする鞭組織と群像の知られざる物語」とのことだ。
本書の内容を表現するのにこれほどぴったりの文章はないかもしれない。
国や時代はちがえど、新しいテクノロジーが生みだされるまでの裏話というのはじつに興味深い。
技術者たちが、さまざまな制約のなかで、力を合わせ、知恵を絞って、実現不可能と思われていた新しいテクノロジーを現実のものとしていく姿にはだれでも感銘を受けるものだ。
本書のいちばんの読みどころも、まさにそうしたテクノロジー開発秘話にあるわけだが、ひとつだけ決定的にちがう部分がある。
〈プロジェクトX〉では、理解ある上司が部下を守り、導いてくれるというパターンが多く、そこから感動話につながったりしてちょっと鼻白むことがあるのだが、本書に登場するM社の管理者たちは、保身のために部下を平気で犠牲にしたり、隙あらば部下の手柄の横取りを狙ったりと、じつに人間くさくてリアルだ(ごく一部に例外もあるが)。
開発者から見れば、協力者というよりもむしろ障害物であり、プロジェクトを成功させるためには、この壁をなんとか乗り越えなければならない。
こうした企業内の政治的駆け引きにまつわる内情暴露話が、本書のもうひとつの読みどころといえるだろう。
M社の内部で日夜くりひろげられる弱肉強食の生存競争は、まさに熾烈をきわめている。
出世のために策を考え、ライバルを蹴落とすなどというのは序の口で、いざというときに実績をあげていたダイレクトXが、XboxのOS上で、もっとも重要な3Dグラフィックスの表示などの機能を担当することになったのは、当然の流れといえるだろう。
他の部署へ放出できるようにあらかじめ役立たずな部下を飼っておくとか、ライバルのプロジェクトを抹殺するために故意に業界誌に情報を漏らすとか、そんなことにばかり頭を使っていていいのかと思うような事例がぞろぞろ登場するのだ。
長期休暇で不在にしていたあいだにべつの管理者にプロジェクトを奪われてしまうなどというのは、ふつうの日本の企業ではなかなか考えにくいことではないだろうか。
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